2006年04月30日 EU統計
欧州統計局:4月の予測インフレ率は2.4パーセント、欧州委員会:業況感・景況感指数を公表
© European Community, 2006
欧州統計局は、中央ヨーロッパ時間28日、4月の予測インフレ率を公表した。それによれば、ユーロ圏(12か国)の4月の予測インフレ率は2.4パーセント(年間換算)。
欧州統計局によれば、このインフレ率予測の精度はきわめて高く、過去2年間(24回)のうち、14回は正確に予測し、9回は0.1パーセントの誤差、1回は0.2パーセントの誤差だった。
欧州中央銀行は、欧州統計局のインフレ率統計を、公定歩合に関する決定の参考資料としている。これは、インフレ率を抑制する手段として公定歩合の引き上げが有効と考えられているためである。そのメカニズムは、公定歩合を引き上げると、預金のインセンティヴが増すと同時に、借金のインセンティヴが減るため、市中に出回る貨幣量が減少し、結局貨幣価値が上がるという仕組みである(インフレとは、貨幣価値が下落する減少である)。
欧州中央銀行による公定歩合の引き上げがあった3月は、インフレ率が2.2パーセントとなり、一時的に「薬が効いた」ように見えたが、今回の予測が正しければ、再びインフレ率は上昇傾向に向かっていることになる(もちろん、或る程度のヴォラティリティを斟酌する必要はある)。したがって、公定歩合引き上げの一材料にされうると考えられる。
欧州中央銀行は、3月8日に、公定歩合(主要リファイナンス・オペレーションの最低提供利子率)を含む政策金利を、25ベーシスポイント(0.25パーセント)引き上げた。これにより、公定歩合は2.50パーセント、限界貸出ファシリティは3.50パーセント、預金ファシリティは1.50パーセントとなった。
〔欧州委員会:業況感・景況感指数を公表〕
欧州委員会は、中央ヨーロッパ時間28日、4月の業況感・景況感指数を公表した。
それによれば、4月のユーロ圏の業況感指数(BCI = Business Climate Indicator)は、3月よりも1.12ポイント上昇した。昨年9月以来、8か月連続で上げている。
また、4月の景況感指数(ESI = Economic Sentiment Indicator)については、ユーロ圏で1.7ポイント上昇して105.3となり、EU全体(25か国)では2.9ポイント上昇して107.8となった。
欧州委員会によれば、ユーロ圏の工業生産は、今年前半6か月を通じて成長を続けることが見込まれるという。